展望台から立山 |
扇沢の始発に乗り、大勢の観光客に混ざり、途
中の展望台から雄大なアルプスの峰々を仰ぐと
私の心はアルプスの空気にすっかり溶け込んで
いくようだった。 |
室堂から立山 |
室堂から石畳の道を浄土山に向った。どうしたの
か歩き出して直ぐに脚が重く息苦しい。もう何時
間か歩いたような疲労感で体が重く感じられた。
写真を撮って遅れてもメンバーに追いつくことが
出来ない。いやー!どうしちゃったの?
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別山のかなたに剣岳 |
一の越から浄土山の緩やかな斜面がきつく長く
長く思えた。途中から後ろに剣岳が大きく迫り出
してきた。立ち止まって何度も何度もその迫力あ
る姿に惹き付けられる。
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右の奥が五色ヶ原 |
遥か遠方にこれから向う五色ヶ原が、原の右隅
に五色ヶ原山荘がマッチ箱のように小さく見た。
竜王岳をピストンし、ランチタイムだ。
こんな体調のときはザックがやたらと重く感じる。
食後はザックが軽くなるかと期待したが殆んど重
量は変わらない。
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雄山 龍王岳の右に雄山
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龍王岳山頂 |
鬼岳の山頂は巻き道を、稜線から立山連峰が素
晴らしい。
私の最初のアルプスがこの立山の縦走だった。
雷鳥沢の下りで、登山靴に指があたって親指の
爪が真っ黒になって数日後に爪がそっくり剥げて
しまった。その時も今日のように快晴ですっかり
アルプスの虜になってしまった。
獅子ヶ岳の下りは急斜面でザレて歩き難い。
振り返って獅子岳を見れば急な山肌に登山道が
稲妻の如く走り下りている。丸太の梯子や鎖があ
るが心配はない。
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午後になると富山側はガスに覆われ始め、信州
の風に押されて越中のガスは尾根を越えること
ができなかった。
ザラ峠は岩屑でざらざらしているからと名づけら
れたそうだ。
富山城主佐々成正が秀吉に囲まれ、家康に援軍
の依頼の際、冬の厳冬期に越えたと言われてい
る歴史とロマンの峠だ。現代と違って装備も食料
も無い時代にこんな険しい峠を越えられたのだろ
うか・・・一説には安房峠?では・・・
いずれにしても昔の人の気迫は凄いな。
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獅子岳から龍王岳 ザラ峠へ下る
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草紅葉の始まった五色ヶ原
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ようやく平坦な五色ヶ原に出た。木道を行くと前
方に五色ヶ原山荘がはるかに見えた。
シーズンオフの平日とあって山荘は私達の他に
3,4人の宿泊者がいるだけだった。
お風呂もあってトイレは燃焼浄化式で小屋は快
適だ。
夜、窓から満月が煌々と明るすぎて星が遠慮
がちで満点の星空は霞んでしまっていた。
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翌朝、青空は何処までも広く、アルプスの一角に
こんなにも広々した草原台地があるなんて考えら
れない。
夏のハイシーズンは一帯が高山植物の花の饗宴
で多くの登山者で賑わっているのだろう。だが朝
日に染まる五色ヶ原は静まり返り、チングルマの
穂先が朝露に濡れ輝いている。
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赤牛岳 |
赤牛岳、薬師岳などの雄姿に別れを告げ、いよ
いよ黒部湖に向ってひたすら下りの道だ。
途中で密集するベニバナイチゴの実が真っ赤に
熟れて、ブルーべりーの実も食べごろを迎えてい
る。座り込んでブルーベリー狩が始まってしまっ
た。まだまだ先が長いぞ。
樹林の切れ間から鹿島槍ヶ岳が顔を覗かせる。
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平の小屋 |
平の小屋に到着。ここは対岸への渡船場でもあ
る。釣り人や登山者に利用されているようだ。
小屋からちょっと下ると、直ぐに丸太の梯子が始
まった。
急な下りの後はちょっとの登りがきついものだ。
左側は岩壁、右はダムへ切れ落ちて細い登山道
は昨年歩いた下の廊下に似た雰囲気だ。
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ようやくここから平坦な道かと思うが、地図上では
平坦そうで往路、復路とも同タイムになっている
が、ダムに沿ってアップダウンがきつい。
樹林の中で眩しい太陽を避けられ唯一の救いだ
った。時々湖から吹き上げてくる涼風に癒され
た。
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エメラルドの湖に白い遊覧船がゆったりとさざ波
をたて、絵のような風景だ。
見上げれば群青色の空に針の木岳〜赤沢岳の
稜線が迫力に溢れていた。
今度はあの稜線を歩きたい!
自分の体力も考えず夢は夢です。
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幾つ梯子のアップダウンをこなしたかわからな
い。中ノ谷、御山谷の大きな沢は豪快な音が山
中に響き水量は豊富だ。
増水時は要注意とあった。
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黒部湖からダム |
ロッジくろよんの青い屋根が見えてもなかなか到
着しない。
ロッジには綺麗なトイレがあり、休憩に最適地
だ。ここから先は林道で平坦な道がダムまで続く
ので、自販機でビールをゲット。旨い!汗ばんだ
体の五臓六腑にしみわたるようだった。
ここからは紛れなく平坦な道になった。
ダムの堰堤を目の前にし、遠くに鹿島槍ヶ岳を
眺めながらフィニッシュのトロリーバス乗車口に
向った。
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