光岳〜聖岳
2591m 3013m
(南アルプス)
2008.10.2〜4
コースタイム
2日 浜川P3:00易老渡8:30→面平10:10→2250m峰13:05→易老岳13:35→三吉平14:45
→光平小屋16:00 (泊)
3日 光平小屋6:00→光岳、光石→光平小屋7:15→イザルガ岳7:30→易老岳9:30→希望峰11:30
〜12:00→茶臼岳12:35→竹内門14:00→上河内岳肩14:30→南岳15:00→
聖平小屋16:15 (泊)
4日 聖平小屋5:35→小聖岳6:40→聖岳7:50〜8:25→薊畑10:00〜10:30→苔平11:20→
西沢渡14:00→便ヶ島14:50→易老渡15:20
中央道飯田ICで下り、国道153号を東に向かい、三遠南信自動車道の緑の標識(病院の直
ぐ先)に従い矢筈トンネルに向う。トンネルを抜け上島トンネルの手前を右に上がっていく。林
道は長く下栗の集落を過ぎるとダートな道になり、何度か落石を取り除きながら易老渡Pに向
う。ここまで迷いやすいらしいが、予定より少々遅れたが難なく駐車場に到着した。
南アルプスの最南端の名峰の2座、聖岳は数年前に訪れているが、そのアプローチの長さに
光岳はとても私には無理と諦めていた。最も私は光岳にあまり興味もなかったのだが・・・
今年になって念願のトムラウシ、五竜岳を踏破したら、100名山は残る光岳になっていた。
100名山に反旗を翻す私としては、一つ残すつもりだった。ところが、光岳を最後にする人が
多いとか、チャンスがあれば登ってみようかと不意と考えが変わった。
しかし、小屋の営業の時期はやたらと虫(ヒル、ムカデ)が多いらしい。虫嫌いな私は涼しいこ
の時期しかない。この時期は避難小屋とまりとなるからザックの重量はかなり多くなる。
今年がラストチャンスかと同行の二人の男性と共に光岳から聖岳に挑戦することにした。
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鉄製の橋を渡り、しばらくすると、ジグザグの
急登になった。額から汗が流れ、歩きながら
汗を拭こうとすれば、ザックの重みでバランス
が崩れしまう。
避難小屋2泊の今の時期は防寒具、また、水
場も枯れていることがあるので水も多めに用
意した。
今までで一番の重量だ。ザックを膝まで背負
いあげることが出来ず、同行のO氏に背中に
のせてもらうしまつだ。 |
面平 |
樹林の中の苦しい登りが続く。三日間の行程
は長いからゆっくりペースで息が上がらない
程度に一歩一歩高度を稼ぐ。面平のここが
平坦であとはすべて急登だ。
数年前、聖岳からの下山しこの面平で、当時
同行した故M氏がコーヒーを淹れてくれた懐
かしいところだ。
今日はこの辺りまで聖光小屋の主がきのこ
採りしながら前後して歩いたが、その後は光
小屋まで会う人もなく全く静かな山だった。 |
易老岳 |
樹幹から聖岳の姿が次第に大きくなり、その
姿に励まされ1時間遅れの出発だったが、易
老岳に予定より1時間も早い到着だった。
易老岳は樹林の中で眺望はないが平坦な休
憩に適地だ。
ここから右に光岳に向う登山道に入った。
三吉平まで緩い下り、鹿の鳴き声が森に響
き、親子連がジッと私達を見つめていた。 |
苦しいゴーロの登り |
三吉平から1時間の苦しい登りに変わり、一
歩出すのがやっとだった。快調なO氏はぐん
ぐん飛ばすが、私はもう限界でとても付いて
いく状態ではない。
台風一過の快晴が約束されていたが、真っ
青の空はいつの間にかガスで覆われてしまっ
た。
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光岳小屋
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心配した静高平の水場は水はたっぷりと流
れていて
冷たく美味しい!明日の朝までの水分補給を
して小屋に向う。
小屋は先客1組のカップルだけだった。
小屋は綺麗で、トイレも清潔感があってホッと
した。
2日目
明け方冷え込んで寒くて何度も目覚めた。
その筈だ。翌朝、朝食後光岳の山頂へ向う
登山道に真っ白の霜柱が朝日にきらきらと輝
やき、私の完登を祝福しているかのようだっ
た。
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小屋の前からご来光
朝日に輝きを増す光石 |
光岳山頂
100名山完登!!
大方の人は横断幕を広げ祝福するのだろ
うが私は秘かに完登を喜びたかった
私たち3人だけの静かな山は
私の願いにぴったりだった
冷ややな朝の空気は身が引き締まる思いで
残りわずかな人生のこれからの第一歩を
光岳から踏み出そうと思った。
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小屋に戻ると、同宿したカップルの姿はな
かった。
予定より1時間遅れで私達も聖岳に向う。
途中のイザルガ岳へ私は一人でピストンし、
静高平の水場で二人と合流した。
南アルプスを3人で独占しているような気分
は最高!
途中のピークから聖岳の雄姿が素晴らしく、
中央アルプス、御嶽山を望めた。
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易老岳から希望峰を経由し、茶臼岳の縦走
路は昨日の疲れで足の運びは重く、尾根から
希望峰の姿が大きく見えたが、あの頂まで行
けるのだろうか。
昨日快調だったH氏は今日は少々疲れ気味
である。それに反してO氏は今日は絶好調で
上河内岳に先行したが、私とH氏は以前山頂
を踏んでいるのでパスすることにした。
上河内岳の肩で先行のカップルを追越し、聖
平小屋へ急いだ。 |
聖平小屋は建て替えられて、既に外のベンチで夕食の支度をしている登山者が数組あっ
た。
1時間遅れで光小屋を出発した私たちは予定通りに小屋に到着し、明るいうちに夕食を摂る
ことができた。小屋は私たちの他に10人程度で、ゆっくりと休むことが出来た。
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3日目
バテ気味のH氏は聖岳はパスすると言ってま
だ夢の中だ。私とO氏は5時半、薄暗いな中
再びのご来光に迎えられ、薊畑にザックをデ
ポし聖岳に向った。
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聖岳の山頂は私たち二人の独占の山だっ
た。
360度の大パノラマに、時を忘れると言うが
本当に40分があっという間だった。
富士山、目の前の赤石岳、その山頂に赤石
小屋、兎岳の鞍部に百間洞の山の家、奥に
塩見岳、中央アルプス、昨日歩いた茶臼から
の稜線を眺め大満足の二人だった。 |
聖岳山頂
山頂から富士山 赤石岳
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展望を満喫した私たちは薊畑で待つ、H氏のことをすっかり忘れ、大急ぎで山頂を後にした。
薊畑から長い長い道を西沢渡に向ったが、膝はガクガクで木の根に足を取られ、滑落注意
の貼り紙に冷や汗を掻いた。
息子に百名山最後の山に行くと話したら、「大丈夫かい?これで最後にならないように・・・」
「フムッ!気をつけなかぁ(;-;)アカンなぁ」
ロープにしがみ付きながら慎重に慎重に、腰が引けてしまう私でした。
苔平らの周辺はダケカンバのなかに苔の緑が美しく樹林の中に唯一癒された。
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造林小屋跡を過ぎると直ぐに渡渉地点だ。
以前はザックのみを渡し、私たちは浅瀬を見
つけて徒渉したが現在はロープウェイも新しく
なり人間様も同乗出来る様になった。
長い林道を易老渡の駐車場へやっと到着し
た。
一昨日は2台だった車は今日は週末のため
か10台くらい駐車してあった。
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皆さんのお陰で100名山は完登したが、これからも
まだまだ感動を求めて日本の山を歩こうと思っています
下山後、急傾斜に蕎麦畑や茶畑など栽培し人々の温かい心が通う下栗の里。
民宿“ひなた”に1泊し、同行の二人と共に祝杯をあげた。
民宿の窓から聖岳、兎岳が大きく見え、テラスの望遠鏡からは聖岳の登山者まで見えるそう
だ。
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いやーこんな危なそうな崖っぷちの部屋で落
ち着かないだろうと・・・
ところが3日間の疲れにアルコールも手伝っ
て、熟睡してしまった。
夕食は宿のオバサンの温かいもてなし料理
1泊 6800円
(通りの看板は6000円だったが週末の
ためか800円高い) |
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ひなびた里の民宿は、私の100名山完登に相応しい宿だった
村の人の温もりを感じる山の空気と料理に、もう一度訪れてみたい
帰宅してから数日後、そんな想いがじわっと感じた
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