大雪山縦走
層雲峡・黒岳〜トムラウシ山〜トムラウシ温泉
2008.7.10〜16

トムラウシ山はちょうど10年前、故みつるさんと大雪山を
八の字縦走した時、北海岳から眺めた白雲岳へ続く稜線を
いつの日か歩いてみたいと思いながら
チャンスがありながらなかなか実現出来なかった
長年の夢は私の期待に充分応えてくれた
同行者  男性3名
コースタイム 
  10日 市民P5:30車(RV)新潟港10:30船小樽港4:30
  11日 小樽港〜旭山動物園〜層雲峡滝めぐり〜層雲峡ユースホステル(泊)
  12日 層雲峡ロープウェイ〜ペアリフト〜黒岳7合目
       黒岳7合目登山口6:50→黒岳山頂9:10〜9:30→北海岳11:30〜12:10
       →白雲岳分岐13:10→白雲岳避難小屋13:30 (泊)
  13日 白雲岳避難小屋4:30→高根ヶ原分岐6:00→忠別岳5:45→忠別避難小屋
      7:45→五色岳11:05→ヒサゴ沼避難小屋13:10 (泊)
  14日 ヒサゴ沼避難小屋5:00→天沼7:10→北沼分岐9:20→トムラウシ山頂
      10:00〜10:50→前トム平12:25→カムイ天上15:35→温泉コース分岐
      16:30→短縮コース登山口17:00 車(RV) 東大雪山荘 (泊)
  15日 東大雪山荘8:20車(RV)狩勝峠車(RV)苫小牧東港19:30船新潟港
  16日 新潟港15:30車(RV)市民P19:20


11日 
小樽港で下船すると雨模様、今日の予定は藻岩山ハイキングだったが急遽変更し、童心に返
り旭山動物園に行くことにした。平日に関わらず開園前に長蛇の列だ。ほっきょく熊、狼の森、
レッサーパンダなど初めて見る動物もいる。登山グループの姿も見かけられた。昼食は旭川ラ
ーメン村へ、行列に並んだだけあってラーメンは煮干出汁の濃くのあるスープに満足した。層
雲峡の流星の滝、銀河の滝を見物し、宿泊のホテルに向かった。

  
           ほっきょくぐまの遊泳

 層雲峡ユースホステルは豪華なホテルに挟まれこじんまりとしたホテル。その豪華なホテル
の割引入浴券を手に私たちは豪華ホテルの玄関に入った。お風呂は7階展望風呂、二階に
は女性専用風呂があった。今まで入った温泉の中でもベストの雰囲気がある。大浴場に一人
のんびりと浸かりながら明日からの避難小屋2泊の大雪縦走に期待と不安が頭を過ぎった。


元気良く出陣!!

 12日
 心配した雨は止み、3日分の食料とシュラフと防寒着等の入った重いザックを背負い黒岳ロ
ープウェイ、ペアリフトを乗り継ぎ標高1520mの黒岳7合目に到着。リフトの下に既にコマクサ
のピンクがちらほらと姿を現していた。
 7合目登山口で登山者ノートに記帳し、無事にトムラウシ温泉に下山できることを祈った。ここ
からは観光客と別れたが、登山者は団体を含めかなり賑やかである。
我々"追越され隊"は長丁場のコースのため、ゆっくりと花を愛でながら歩くことにした。山の斜
面をクリーム色に染めているのはウコンウツギだ。そしてチシマヒョウタンボクの小さな赤い
花、ミヤマキンポウゲの黄色、チシマフウロの薄紫が目を引く。花に助けられてあっという間に
黒岳山頂、あたりはガスって展望がない。ここから石室に下る途中は両脇にエゾコザクラ、イ
ワヒゲ、チングルマ、ツガザクラの大群落。

  
     雪渓とお花畑が次々に現れる

今年の花付は例年より良いそうだ。石室で休憩していると突然あたりのガスが切れて、美しい
雪の斑模様の北鎮岳が現れた。これが大雪山だ、大雪のスケールの大きさに感動する。赤石
川を徒渉し、緩やかな登りにまたまたイワブクロやチングルマの大群落。少々空模様が気にな
った。天気予報は気圧の谷に入り不安定だという。とにかく早めに小屋に到着したい。かすか
に遠くで雷鳴を聞いた様な気がした。
白雲岳はガスの中、分岐にはザックがいくつかデポしてあったが、我々は白雲岳避難小屋に
向かった。小屋に落ち着いてまもなく雷鳴が轟き雨音が激しく小屋の小窓を叩き、それが夜9
時過ぎまで続いた。
 
    チングルマの群落                            白雲岳避難小屋

 13日
 昨夜の雨は嘘のように天気は回復し、明るくなるのを待って小屋を出発。高根ヶ原は何処ま
でも平坦な歩きよい道が続いている。コマクサの群落が見事だ。片側絶壁の忠別岳の奥にト
ムラウシ山が顔を覗かせ、振り返ると旭岳の雄大な姿があった。


    左が旭岳、隣が後旭岳

忠別岳山頂 左後方がトムラウシ

     

 
忠別岳から五色岳までハイマツ帯の歩き辛い道が続く。ハイマツは背丈ほどもあり、私の顔に
容赦なく跳ね返って、ザックを引っ張り、思うように歩かせてもらえない。かなり抵抗感があり苦
しい登り、でも、最近枝きりをしたのか新しい木の枝の切り口があった。上空の雨雲は我慢で
きなくなったらしくポツポツと降り始めた。五色岳を下り、化雲岳の分岐まで湿地帯の木道をし
ばらく歩く。あたりはガスが濃くなり視界が悪くなってきた。足元にはエゾクモマグサが風に揺れ
ていた。木道が終わり、化雲岳の分岐に差し掛かると前から来た男女二人連れが女の人と男
の人を見かけなかったですか。不安な面持ちで尋ねられ化雲岳ではぐれた様子だった。それ
からまもなく尋ね人らしき年配の女の人に出会った。こんなガスった時はパーティーはお互い
の視界から外れてはならない。この辺りがガイドブックにもあるように迷路注意であるらしかっ
た。慎重に地図を読み取りヒサゴ沼避難小屋に向かった。木道、雪渓、階段が続いて、ついに
眼下にヒサゴ沼が見え、ホッとした。
 
                     コマクサの群落 
                        

   ヒサゴ沼避難小屋
ヒサゴ沼避難小屋は収容人員が少なく早者がちだ。ハイシーズンの週末はかなり混雑が予想されるという。テントは持参したものの、こんな天気のときに使用したくは無い。
小屋のドアをそっと開ければなんと先客で満員御礼の状況だ。そこで我が"追越され隊"の一人Y氏の登場です。二階に上がり、なにやら取り仕切り始めた。お陰様で私たち4人は今宵の宿を確保することが出来た。この後に到着したパーティはテン場に向かって行った。危うい所だった。ごった返す小屋で先ず汲んできた湧き水を煮沸し翌日の飲料水を作り始めた。

その時、O氏が靴下の片方ないとぼやき始めた。あたりを探したが見つからない。ばたばたし
ているうちに靴下は忘れられてしまった。しばらくしてから
 「お騒がせしました。ありましたよ。」
 「何処にあったの?」
 「左足に2つ履いていました。」
 「・・・・・」  いつものことながらO氏のおとぼけで心身共に疲れた我々は抱腹絶倒で今まで
の緊張感から一気に解放された。
 
 14日 昨日と同様、朝食は小屋を出てから摂ることにし、沼から雪渓をトラバース、
その後直登するが、アイゼンは不要であるが油断すれば沼まで一気に滑り落ちてしまいそう
だ。一歩一歩慎重にキックステップで登り詰める。昨日ガスっていた化雲岳は今は青空の下に
しっかりと姿を現していた。このあたりにエゾルリソウが咲いているのだが見当たらない。化雲
岳へ未練があったが、トムラウシ山が目的だ。


    
ヒサゴ沼付近


今日のコースも昨日同様ロングコースだ。天沼まで小さな沼や巨岩を乗り越えて黄ペンキを頼
り慎重に進む。
ここで私たちと前後して歩いていたご夫婦がはぐれて奥様の姿を探していた。奥様は足元に気
を取られてルートを外してしまったらしい。数分後に見つかったと連絡があったが我々も注意し
なければいけないと肝に銘じた。もう山頂まであとわずかだ。

トムラウシ山頂直下

日本庭園を過ぎ、北沼からトムラウシは更に大きく目の前に姿を現した。ここからルートの分
かりにくいロックガーデンを慎重にペンキを目指して行く。
 ヤッター!!トムラウシの山頂に立った。苦労して歩いた者だけが味あうことができるこの感
動に胸が熱くなった。4人で互いに握手し喜びを確かめ合った。



トムラウシ山頂  バンザーイ!!

山頂から旭岳、十勝連峰が素晴らしい。展望を欲しいがままに楽しみ私たちがランチを終え、
下山する頃、トムラウシ温泉側から日帰りピストンの30数名の団体、が続々と上がってきた
が、残念ながら山頂の展望は全く白い闇に覆われてしまった。


 トムラウシ温泉連泊で山頂ピストンの30数名の 
 団体、勇者たち


ここからは宿の心配もなく東大雪山荘までゆっくりと歩けばよいのだ。山頂を踏んだ達成感で
大満足の"追越され隊"は団体に先を譲り、途中でゆとりのコーヒータイムをしながらフィニッシ
ュに向かった。カムイ天上近くから足場は泥んこ状態で、深い笹の中、花も展望もない長い下
りが続いた。これではトムラウシ温泉から山頂ピストンではトムラウシ山の良さがまるで分から
ないだろう。

 東大雪山荘に到着し、3日間の汗を私は独占の浴場で流し(浴場は団体さんが出た後らしく)
乾杯の生ビールの味は最高!!一杯目は一気飲み、お代わりお代わりで3杯も飲み
翌日はちょっと2日酔い気味だ。というのも夕食に続き、朝食のバイキングに3日間の粗食に
耐えた反動から胃袋はどれもこれも美味しくてついつい食べすぎて胃の調子が狂ってしまった
ようでした。
 
静かな日本海の大海原を眺めつつ大雪の花真っ盛りの中を歩いた感動が再びじわじわと体
中に広がってきました。

  出会った花たち

   
    ウコンウツギ              モミジカラマツ                シナノキンバイソウ 
   

   
     チシマヒョウタンボク             チシマフウロ             エゾコザクラ


   
     コエゾツガザクラ             イワヒゲ             キバナシオガマ


   
      イワブクロ             エゾヒメクワガタ               エゾツツジ

   
    クマモユキノシタ            チシマクモマグサ             チシマギキョウ
    ( ヒメヤマハナソウ)

   
   エゾオヤマエンドウ             アオノツガザクラ               エゾツガザクラ


   
        コマクサ              ハクサンチドリ                 ハクサンイチゲ


 この他にもエゾイソツツジ、マルバシモツケ、ハクサンシャクナゲ、、ゴゼンタチバナ、
 ミヤマリンドウなどなど





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