越後駒ケ岳

日 時  2006.9.18
コースタイム  枝折峠6:40⇒明神峠7:10⇒道行山分岐8:05⇒小倉山(8:55〜9:05) ⇒百草の池9:35⇒
            駒の小屋11:00⇒山頂(11:20〜30)⇒百草の池13:00⇒小倉山13:30⇒道行山14:15⇒明神峠 
            15:20⇒枝折峠15:40

 越後駒ケ岳は八海山、中ノ岳と水無川を三角形に囲む越後三山の一つである。その姿に以
前から私は惹かれ、憧れていた山の一つである。
登山口の枝折峠(しおりとうげ)のその名の響きにも興味があった。
峠の名の由来は、その昔この山に入った武将が道に迷い、童子が木の枝を折りながら道案内
をしたという伝説があるそうだ。もう少しロマンを秘めた物語を想像していたのだが・・・。往時
は銀の搬出のため銀山街道上にあり、麓には人家1000軒が銀山町と栄えその往来で賑わ
ったそうだ。その後銀山が浸水事故で閉山となり廃道となってしまった。近年、林道が開通し、
全舗装され国道352号線となった。明るく開放的で展望の良い峠、私たちが到着したとき既に
広島ナンバーのマイクロバスが駐車してあり、登山口からハイカーのうしろ姿が樹間に消えて
いった。広島から昨日は谷川岳、今日は駒ヶ岳登山だそうだ。100名山ブームはいまだ衰えを
しらないようだ。
私たちも手早く身支度をし、工事中の鉄製の階段から歩きはじめた。緩い傾斜の潅木の中を
30分程で明神峠、ここが旧枝折峠だ。昔は銀山の道として、現在は登山者の道として賑わっ
ているようだ。途中の道行山は帰路に時間があったら寄ることにして私たちは先を急ぐことに
した。小倉山までは短いアップダウンの連続だ。はるか遠くに雪渓を抱く駒ケ岳の姿を目指し、
泥濘や木の根、小岩の歩き辛い道だが、念願の駒ケ岳なので、全く苦にならない。リーダーの
配慮でトップを歩かせて頂き、マイペースで歩くことが出来、私は息があがることも無くラッキー
だった。歩き出してから3時間で百草の池に到着。標識はあるが池らしきものは見当たらな
い。刈払いされた道に誘われるように行くと水溜りのような小さな池があった。今は復元中で立
ち入り禁止らしいかった。百草の池の名前からすると花の季節は素晴らしいかと思われる。
が、今はすっかり花たちは影をひそめて寂寥としている。しかし、花に見惚れていたら長丁場
のこの山を日帰りは無理かと思われる。
           
   
    バックに越後駒ケ岳
 デジカメが壊れてしまい携帯電話で撮影し、PCへ画像を送信して
 みた。30万画素の携帯だが馬鹿にしたものではない
 百草の池付近から山頂を見る 貴重な一枚
 まだまだ山頂は遠い 
            
                  
 百草の池から目指す駒ケ岳が一段と大きくなった。ここからはかなり急傾斜の道になった。
台風の余波だろうか、物凄い風が山を覆いつくしている。草つきの尾根は山から谷から容赦な
く吹きつける風で、草はせわしなく前後左右になびき留まる事が無い。まるでサンバのリズム
乗り踊り狂っているようだ。私たちも風に煽られないように必死に岩にしがみ付きながら高度を
稼ぐ。岩場の脇を雪渓から流れ落ちる水の音に慰められながら慎重に一歩一歩進む。下方に
先ほどの百草の池が陽に輝いている。雨の心配どころか、薄日が射しはじめ日焼けの心配に
変わった。岩場を登りきると駒の小屋が忽然と目前に現れホッとした。小屋の前の水場で冷た
い水をたっぷり飲み山頂に向かう。
山頂はすぐ目の前だ。はやる心を抑えながらゆっくりと山頂へ向かう。先行した広島のグルー
プが続々と下ってきた。山頂は信仰の山らしく猿田彦の小さな銅像が迎えてくれた。脇に一等
三角点があり、意外と山頂は狭い。先ほどまで山頂を雲で隠していた荒沢岳、中ノ岳はじめ、
八海山は急峻な八峰の岩峰をあらわにし、未丈が岳、平が岳、巻機山など越後の名立たる
峰々がずらりと顔を見せている。眼下に越後平野の稲穂が黄金色に輝き、はるかに日本海の
海原。アルプスとは全く異なった様相のパノラマだが素晴らしい展望だ。私たちで独占した山
頂を去りがたいが強風に急き立てられるように下山する。

    
   三角点と猿田彦の銅像と後ろに八海山                強風の山頂

下山しながらも終始、駒ケ岳の威厳ある姿に歓喜しながら何度も何度も振り返って心にその姿
を刻み込んだ。途中の尾根から対峙する荒沢岳は素晴らしく駒ケ岳と甲乙つけがたい風格が
あり、今度は是非あの山頂に立ちたい。先週体調不良でこの荒沢岳をキャンセルしたことが
非常に悔やまれた。百草の池から登山口まで長く長くこんなに歩いてきたのかと我ながら感心
するほどだった。道行山は、2,3分の登りらしいので、ここを残したら悔いが残りそうで、疲れ
た脚に鞭打って、駆け上がった。山頂にご夫婦らしい1組が版画の下絵をデッサンしていた。
「ここからの駒ケ岳の展望は一段と素晴らしいですよ。」やはり無理しても登った甲斐があった
と言うものだ。
  
 下山後リーダーお勧めの六日町の温泉銭湯へ立ち寄った。番台のおばさんは何故か年齢を
問いかける。私は逆らわず「65歳ですけど。」「今日は敬老の日だから65歳以上の方は無料
でいいですよ」喜んでいいんだがな、悲しんでいいんだがな。「65歳?本当ですか?」と、少しは
疑って欲しいものだ。
関越道から眺める駒ケ岳は一際威厳があり、名峰に相応しい姿だった。
西の空が茜色に染まり、夕焼け雲が美しい模様を織り出した。達成感に溢れ、ほんのりと紅潮
した顔の私たちを乗せた車は一路帰宅を急いだ。

                        
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