花と池塘 秘境の山
平 ヶ 岳
2003.7.26〜27

コースタイム 26日獣医師14:00⇒清四郎小屋17:00(泊)
        27日中の岐林道終点登山口5:45⇒稜線8:50⇒玉子石(9:00〜9:20)⇒平ヶ岳山頂(10:00〜11: 
           00)⇒池の岳(11:30〜11:40)⇒台倉山(13:45〜14:00)⇒下台倉(15:10〜15:25)⇒鷹巣
           登山口17:25⇒清四郎小屋17:40

平ヶ岳は交通の便も悪く往復11時間あまり、山中に小屋はなくテント持参しなければならない
きつい山と聞いていた。とても軟弱者の私には無理と諦めていた。ところが地元の民宿に宿泊
すると、宿の車で非公式の登山道、中の岐林道登山口まで送迎してくれる。このルートは往復
5時間余だ。今回、下山はロングコースの鷹の巣コースを歩くことになった。
 
 朝4時30分薄暗い中を奥只見湖を右に見ながら、宿の車は昨日登ってきた道をゲートの雨
池橋まで戻った。ゲートを抜けると道は更に悪路となった。およそ1時間半で登山口に到着。驚
いたことに駐車場にマイクロバス3台、数台のマイカーが駐車していた。皆私たちと同じ手段で
通過したのだろうか。
 
 歩き始めて15分で休憩地に相応しい場所があり、手早く朝食を済ませた。破線のこのコース
は道が荒れているかと思いきやしっかりと整備され歩きよい道が続いている。それもそのは
ず、以前皇太子殿下が登山の折、突貫工事で整備されたのだそうだ。前日の雨で足元は泥濘
んで、湿った樹林帯は私の最も苦手な道だ。薄気味悪く早く明るい稜線に出ないものかと気が
気でならない。急登の道も苦にならない。最も毎週末10時間くらいの山が続いているから、足
は観念せざるを得ない。、
 歩き出して3時間で木道のある湿原に出た。そこからこの山のシンボルの玉子石まで10分足
らずだった。
この玉子石は花崗岩の節目に風化が進んで出来た奇岩である。その背後に湿原が広がり、
大きく越後三山を従えて一幅の絵のようである。

 山頂はその名の通り平らでたおやかに美しく横たわっている。ついに来たぞー秘境の山“平
が岳”と言ってもショートカットコースを利用した私にはこんなに容易に来られて意外であった。
木道の両脇一面に小さな薄紫のタテヤマリンドウ、雪渓の脇にピンクも鮮やかなイワカガミ、
ハクサンコザクラ達が雪解けを待ったように一斉に咲き出したようだ。また這い松に広がるハ
クサンシャクナゲは最盛期を迎え、私を喜ばせてくれる。
 三角点は、木立の目立たない所にひっそりとあった。山頂の広大な湿原に点在する池塘、越
後三山、奥利根源流の山々、燧ケ岳、至仏山が望めたが、頭にそれぞれ雲が垂れ込めてき
てはっきりした同定は出来なかった。

 
玉子石にて
  
 帰路は池の岳経由で向かうことになった。が、内心は往路をピストンでもとおもったが、それ
がとんでもないことだと感じたのは帰宅してからだった。

 台倉山までは深くえぐれた道の脇を滑り落ちないように笹に必死にすがったり、オオシラビソ
の樹林の中を泥沼化した道をまたも笹につかみ掛かり日頃笹薮を毛嫌いしているにかかわら
ずもっての外だ。台倉山から快適な尾根歩き白いコメつつじの花に道案内されているようだ。
谷を隔てた向こうに燧ケ岳が頭を隠して裾野を大きく広げて私達を
ずーと見つめているようだ。途中何組もテント泊のパーティにあったが、その時ヘトヘトな私は
「エーッこれから山頂へ!」哀れみと同情のまなざしで見送った。
 前坂と呼ばれる急な露岩の下り、やせ尾根の繰り返しをいくつか乗り越え、ようやく沢音が一
気に間じかに聞こえると鷹巣登山口はすぐだった。

 平が岳の素晴らしさがジワジワと胸に膨らんできたのは帰宅してからだった。中の岐林道を
ピストンしたのではこの感動を味会うことはなかったろう。あの長い下りがあったからこそ秘境
の山"平ヶ岳”を実感出来たのだとリーダーのこだわりに感謝するばかりだ。非公式道を歩い
た私が中の岐林道は封鎖とは言い難いが平ヶ岳を満喫したければ鷹ノ巣からが絶対お薦め
だ。機会があれば鷹ノ巣コースをテントを背負い、ゆっくりと平ヶ岳を楽しみたい。今も秘境の
山も秘境でなく、平ヶ岳も100名山を目指す中高年登山者で賑やかな山だった。

 100名山ブームはいつまで続くのだろうか



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