根 子 岳
                                       2004.8.7

二度上峠を越え信州に入ると、先ほどの青空は何処へ消えてしまったのだろうか。
菅平高原はラクビーのメッカ。ホテル、グランドは健康の固まりのような若者で溢れる様
だ。この根子岳は以前、四阿山から根子岳に続く稜線を何度も眺め、いつか訪れたいと
念願の山の一つでもあった。
私たちの車は朝5時半自宅を出発し、8時到着。駐車場の入口で入山料一人200円を
払わされた。
再びの太陽の出現で、眩い光が高原を映し出していた。
鉄線の張りめぐされた牧場の中をゆっくりと左足を労わるように歩き出す。広々した牧場
は、乳牛のホルスタインがのんびりと横たわっている。
登山道の脇には、早くも高山植物が姿を見せ始めている。ハクサンフウロ、ウツボクサ
ハクサンおみなえしなど。笹原にダケカンバ、白樺の点在する美しい林が続く。林の中の
緩やかな登山道は歩きやすく、心配した足にやさしく感じる。これなら次週の空木岳は
何とかなりそうだぞと期待が脳裏をかすめる。
合宿の学生達だろうか、続々と私たちを追い抜いていく。完治してない足をかばう為か、
体はやけに重く感じる。しばらく歩かなかった為かもしれない。辺りのはなを観賞しなが
ら私たちはゆっくりと山頂を目指す。マルバダケフキや丁度見頃のヤナギランのピンク
の群生に感激だ。はるか麓に牧場、菅平高原が広がりを見せている。
先ほど私たちを追い越した学生達が、山頂から戻ってきたようだ。元気に「こんちは」の
声で、風の如く駆け下りていってしまった。体中がバネのような弾けるような体だ。本当
に羨ましい。ちょっと滑っただけで、1ヶ月も医者通いの私はすっかり老人の体じゃない
か。通り過ぎる若者を羨望の眼差しで見送るだけだ。
10時過ぎ山頂に到着。同時に天に鳴り響く雷鳴に、昼食も食べず、一刻も早く下山しな
ければ急ぎ足だ。あたりに高山蝶の孔雀蝶、アサギマダラが優雅に飛び交っていた。
     
サギマダラはマルハダケブキがお好きなよう         麓の牧場

登山口近くで大きな雨粒に見舞われたが、小屋に飛び込むと同時に激しい雷雨にギリギ
リセーフだった。

 帰路は渋沢温泉で入浴。ひなびた一軒宿のこの温泉は、静かで登山客が数人休憩し
ており、私たちの他はやはり四阿山から根子岳を周った二人だけでゆっくりと休めた。
 車中、痛めた足は硬直状態で不安は的中、これじゃ当分は山は駄目だぁ。私から山は
ドーンと遠くへ行ってしまった。


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