コースタイム
23日 H駐車場4:30⇒馬場島登山口9:00⇒展望台(1000m)9:20⇒1400m11:20⇒1800m
12:50⇒2000m14:10⇒早月小屋15:15 (泊)
24日 早月小屋5:35⇒2614m7:00⇒⇒剣岳山頂(9:05〜11:00)⇒2614m(13:15〜40)⇒早月小
屋14:50 (泊)
25日 早月小屋6:05⇒2000m6:35⇒1920.7m7:05⇒展望台9:30⇒馬場島登山口10:05
リーダーからの電話で目を覚まし、慌てふためき集合場所に向かった。
集合に遅刻するなんて全く信じられない。その為か今回の山行は終日足は重く、体調は最悪だった。
20年位前立山縦走の際、剣御前から眺めた前剣の素晴らしい姿に感動。まさか私がその山に挑戦できる
とは夢にも思わなかった。何度かチャンスがありながら、その都度参加できない事態になり、全く私には遠 い存在だった。今回早月尾根から剣岳へやっと夢が実現となった。
早月尾根は北アルプス三大急登の一つだ。合戦尾根、ブナ立て尾根も急登といっても然程でなかった。
早月尾根も同じじゃないかなと軽くあしらったのが間違いだった。
登山口から山頂まで2200mの高低差、体力気力の勝負のコースだ。
登山道に入るといきなりの急登、早月尾根の厳しい洗礼を受ける。立山杉の巨木、足元のゴゼンタチバナ
やツルリンドウの赤い実、ダイモンジソウなどに慰められ、人気の無い山道をただひたすら登る。
早月尾根登山口 立山杉の巨木 三等三角点(1920.7m)
1920.7m地点にある三等三角点は明治40年5月16日にこの 気和平(現地図にこの地名は無い)に柴崎芳
太郎測量官が残した一番古い三等三角点。その苦労は大変だったらしい。 200mごとにプレートが設置され、休憩にもってこい。なんといっても急登の連続だ。風は全くなく、全身汗び
っしょりで、最悪なことに今まで足が攣れたことは無かった私が、突然大体筋が攣って足が着けなくなってし
まった。突然私から剣岳がとうざかって行ってしまった。明日は小屋で一日どう過ごそうかと脳裏をかすめ る。やはり剣岳は私にとって無縁の山なのだろうか。リーダーの言うとおり深く膝を折り、筋肉を伸ばすと、 たちまち回復。やれやれ!
尾根の右に山頂から延びる小窓尾根がアルペン的山容で迫っている。
2200m付近は紅葉が始まり、ナナカマドが真っ赤な実をつけ池ノ谷から立ち上がった岸壁とマッチし、素晴
らしい。ここまで苦労したものでしか見ることは出来ない。 頼りないロープをよじ登るとヘリポートに着いた。そこからようやく剣岳山頂の一部が顔を見せた。素晴らし い展望に思わず感動の嵐が体中を駆け巡った。直ぐ下に早月小屋が見えた。
早月小屋より 山頂 はこの奥
24日 昨夜、メンバーの中沢さんに攣れた足を伸ばしてもらったせいか、足はすっかり良いようだ。
出発際に小屋の女将さんの心のこもったキツーイアドバイス。不安に慄く我が身に追い討ちがかかった。
歩き始めて直ぐに喉はカラカラだ。そう、先日の幌尻岳の時と同じだ。極度の緊張から体中の水分は蒸発し
てしまったようだ。私には過ぎた山なのだろうか。森林限界を抜けると、いよいよ剣岳の核心部に迫った。
鎖場が次々現れ、登山道はザレ場の下はスパッと切れ落ち、本当にズズーっといったら、1巻の終わりだ。
女将さんの言葉を思い出された。慎重に慎重に一歩を進める。
はるかに室堂平 急峻な尾根 やはりアルプスだ!!
ボルトは右足を先に掛ける 笑ってはいけない真剣な顔しなけりゃ
立山三山、大日連山、奥に薬師岳が望めた。高山ならでは大展望。先程までいつリタイアしようかと思案に
くれた私は、ようやく元気が出て、絶対山頂を踏むぞ。焦らずゆっくり一歩一歩歩けば山頂は近づいてくるの だ。自分に言い聞かせ、重い足を運ぶ。剣沢からの道と合流すると山頂は直ぐだった。
溢れんばかりの人人人・・・・・・だ。カニのタテバイ、ヨコバイは一時間待ちの状態だとか。
山頂から伸びる尾根の深い谷間は後から後からガスが立ち上がり、2時間占領した私たちを急き立てるよう
に山々を隠してしまった。
青空の下で山頂の展望を十分楽しんだ私たちは、再び早月小屋に戻った。
早月小屋に到着し、まず女将さんに下山報告をすると、皆さんの様子は他の登山者から逐次報告が
届いてましたよ。何処を歩いていた、何処で休憩していたと聞いていたらしい。余程私たちが心配だったの だろう。それもその筈、早月尾根は、7人しかも女性4人も含むパーティはいないのだから。
まずは無事帰還のビールで乾杯!!
小屋前広場で、今日はロング缶にしちゃオーッと・・・・・
其の夜、小屋の女将さんの引退の最後の夜。ご夫婦の奏でるオカリナの音に耳を傾け、飲み放題のアルコ
ールにほろ酔いかげん。緊張は一気にほぐれて、楽しい山小屋の夜はふけていった。
25日 今朝はあたりはすっぽりと白く包まれ、早月小屋を後にする。
樹林の中、長い長い急な下りが続く。膝は笑うどころか全く言うことを効かない。
剣岳の厳しさと大きさをしみじみと実感させられた。剣岳は私にとっても試練と憧れの山に間違いなかった。
翌日、以前読んだ新田次郎著「剣岳・点の記」を再び紐解いてみた。
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