展望の山  石 老 山  
 
       日   時  2003.1.13(月)
コースタイム 獣医師会館6:00−キャンプ場駐車8:20−登山口9:20
       顕鏡寺9:50−融合見晴台10:30−石老山(11:00〜
       11:50)−大明神展望台12:40−キャンプ場13:30
  石老山は神奈川県相模湖の南に位置する道志山塊の標高694m、歩行時間4時間位の
低山である。昨日赤城黒檜山から帰宅後、翌日の天気予報は穏かな一日を約束している。こ
れを聞いては炬燵にあたってはいられないぞとばかり急きょ、この石老山に参加したのであ
る。

 関越道高崎インターから圏央道日の出インターで下り、大垂水峠を越えると、もう、そこは神
奈川県である。峠付近から相模湖のピクニックランドの観覧車が見えると目指す駐車予定の
キャンプ場まではすぐである。身支度を整えて、顕鏡寺へ標識に従い、歩き出して間もなくだっ
た。私達は遠くで畑仕事をしていたおじいさんに呼び止められた。田舎訛りで道が違うと親切
に教えてくれ、その言葉に人情味溢れたほのぼのとした温もりを感じた。冬枯れの田舎道、澄
んだ青空、何処から聞こえてくるのかチョロチョロしたか細い小川のせせらぎ、先程のおじいさ
んとの出会い、こんな田舎の風景は私を満足させるに、もう充分だった。はじめて見るこのな
んでもない景色が妙に懐かしく感じるのはなぜなのだろうか。
 
 相模湖病院裏の登山口から顕鏡寺まで樹林の中の緩やかな登り、道の両脇を見上げると
大きな奇岩、怪石が現れた。山の斜面にへばり付くように屏風岩、仁王岩、駒立岩、大天狗
岩、鏡岩、等々・・・・・それぞれの岩に名前の謂われが書いた立て札がある。それと石とを見
比べながらゆっくりと歩を進める。これらの石は苔むして第三紀層の古い礫岩からなってい
る。こうした古い石が多いことから石老山の名が付けられたらしい。顕鏡寺でこの一年の安全
登山を祈願し、遅ればせながら私の初詣となった。
 この寺には伝説があり、何気なく私達が通り過ぎた洞窟は、今から千年位前京の都からこの
相模の国に落ち延びてきた若い貴族の男女が親切な村人の世話でここに住み着いていた。
雅やかな衣服を纏った2人はどんな思いでこの薄暗い山道を歩いたのだろうか。その子供が
源海法師と名乗りこの顕鏡寺を開いたそうな。顕鏡寺に古い歴史の重みを感じたわけだ。寺
の赤い鳥居をくぐると道の傾斜はややきつくなった。
               
                     顕鏡寺山門

 前日の黒檜山でアイゼンの先を引っ掛けて、岩で打った右膝がまだ少々痛み、今日は湿布
を当て右足が駄目なら左足で歩けばいいさ。「 低山を甘く見てはいかんぞ 」と天からの声が
聞こえそう。転んだのは慣れないアイゼンのせいにしたが、実は老化の始まりで爪先が上がっ
ていない為だと先輩に指摘された。なるほどご尤もだ。昨日に懲りず、また今日も山。こんな事
が口やかましい悪友達に知れたら「まーったく、年なのだから、無理するんじゃないよ・・・・年な
んだから気をつけなよ・・・」と日頃一番の元気印の私に親切心とも嫉みともわからない説教す
るに決まっている。
 急登は痛めた膝にかなり効いた。ほの暗い斜面のつややかに茂るシャガの葉に元気付けら
れる。薄紫の花が咲くというまだ見ぬこの花にいつか出会うことがあるだろうか。急登は奥の
院が祀られている擁護岩迄で、ひと汗掻いた体をしっとりした植林をぬけて来た風が、やさしく
包んでくれる。まもなくして、朽ちたテーブルやベンチのある融合見晴台に到着。そこからは相
模湖が一望できた。足元はアイスバーンで日陰で寒くて長居は無用。再び檜の植林の幅広の
歩きやすい道を緩いアップダウンを繰り返す。山頂付近はまた凍りついた道となって慎重に登
る。歩き始めて3時間、山頂に到着。広々した山頂はすでに大勢のハイカーの姿があった。山
頂から私達の期待を裏切ることなく真っ白に輝く秀麗な富士山が、歓迎してくれる。その左に
大室山、檜洞丸山、蛭が岳はじめ丹沢山塊が望める。富士山はいつどこからで見ても素晴ら
しい。ましては苦労して歩き、山頂をきわめた時に出会うと最高にうれしい。景色を充分楽しん
でから、背中に冬の暖かな陽射しをいっぱいに浴びながら昼食タイムの至福のひととき。
 
 帰路は周回コースで大明神展望台へ、そこからは、再び眼下に相模湖が箱庭のように、そ
の後ろに高尾山、陣馬山、生藤山の山並みが美しく連なっている。私は、展望台の手すりにも
たれ、湖に浮かぶ遊覧船をボーッと時の過ぎるのも忘れ見とれていた。日頃の慌ただしさから
解放されたこうしたひと時が貴重な癒しになっていることは間違いないだろう。 低山ならでは
の気楽さで仲間達と和やかな談笑は、疲れを感じることなく、いつのまにか膝の痛みもすっか
り忘れてしまったようだ。そこから富士山と別れ、沢沿いの急な斜面を一気にキャンプ下った。
   
       
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