十 文 字 峠
2008.6.15
  6年前に訪れた十文字峠のシャクナゲは少々時期が早すぎて蕾はまだ硬く下山で迷い込ん
だ斜面で思いがけなくシャクナゲ真っ盛りの群落に出会えた。
以来、いつか見頃のこの峠に来てみたいと思っていた。

コースタイム 浜川PAM5:00→車(セダン)→毛木平駐車場7:40→八丁坂の頭9:15→十文字峠10:00→カモシカ展望
台→十文字小屋10:30〜11:20→十文字山11:45→毛木平14:00

川上村を通過するたびに明るく裕福な雰囲気の村と西上州の過疎化した南牧村を比較してし
まう私です。高原野菜の広々した中の農道は快適に毛木平の駐車場へ延びている。
車窓から駐車場周辺のベニバナイチヤクソウの群落がピンクに染まり私達の目を楽しませてく
れる。。

途中の川上駅のトイレに寄り、ラッキーだった。毛木平のトイレは水洗でありながら水が出ない
そうだ。駐車場の上に緑の潅木の中にヤマツツジのオレンジ色が鮮やかに迎えてくれる。

駐車場から林道をしばらく進むと甲武信ヶ岳への分岐。私たちは左に向かう。
以前、千曲川源流を朽ちた木橋を渡ったが、今は立派な狭霧橋に変身しています。橋の上か
らすぐ下に無残な川に沈みかけた木橋の姿がありました。

しばらく平坦な道を小鳥のさえずりに耳を傾け、いくつか渡渉を繰り返す。



 苔むす原生林は4月の雪で大分痛めつけ
られて倒木多く、根こそぎ倒れ登山道を塞い
だようで哀れにも切り口も生々しいものがあ
った。  

やがて、九十九折れの急斜面は八丁坂だ。ここを登りきると八丁坂の頭、ここからは尾根の
右の緩やかな傾斜を行く。カラマツの新緑が目にやさしい。



小屋の屋根が樹幹に見え始めると、付近にピンクの花がちらほら姿を見せてくれる。
小屋前にザックをデポし、乙女の森、カモシカ展望台へ向かう。

煙たなびく十文字小屋は風情があり、泊ってみたい小屋の一つでもある


乙女の森はシャクナゲの原生林は防護策があり、2箇所に丸太で足場が組まれ展望台があっ
た。そこからシャクナゲの群落を眺めることが出来た。
しかし、私の想像より花は少なく、一寸がっかり。小屋の主曰く、花は平年並みで10年に一度
くらいはびっちり咲くらしい。花後は花芽を摘み取りしているそうだ。ご苦労様です。

それ以上にがっかりしたのは、デジカメが壊れてしまったのだ。
写真はS氏の好意に甘えて撮って頂きました。

 
   
乙女の森で乙女に囲まれご機嫌なS氏





乙女の森から更に原生林を奥に進むと、カモシカ展望台に突き当たる。
展望台といっても山座同定は出来ず、甲武信ヶ岳も望むことは出来ない。

十文字小屋でランチタイム、昨夜は甲武信小屋は大変な混雑だったそうで、小屋周辺は登山
者で賑やかだ。
昼食後、十文字山へピストン。山頂はコメツガ、シラベ、など針葉樹に囲まれ展望はない。
ふわふわ新道は相変わらず通行不可、仕方なく往路を戻ることした。



十文字山

なんだか峠までの道は以前に比較し、荒れてしまったように感じたのは私だけでしょうか



        しゃくなげを求めて 
十 文 字 峠

期 日 H・14・5・19

コ−スタイム 毛木平(9:05)⇒八丁坂の頭(10:35)⇒八十文字小屋(11:10〜12:00)⇒十文字
山(12:25)⇒分岐下山口(12:50)⇒ふわふわ新道分岐(14:20)⇒毛木平(14:50)

十文字峠は甲武信岳の登山基地としてまた、江戸時代中山道の裏街道として秩父と信州を結
んでいた。登山道には一里ごとに石仏があり往時の面影を偲ぶことが出来る。今も五里観音
が、登山道の大木の陰にひっそりとあった。
 
 登山口へむかう途中の信濃川上村は、明るく広々としている。私は、この村を通る度に、見
渡す限りの高原野菜の畑を眺めるとなぜかほっとする。林道に入ると車窓から小さな赤い蕾を
つけたベニバナイチヤクソウの群落。雑木林は淡いやわらかな緑が広がり遅い山の春を感じ
る。

毛木平の駐車場で身支度を整え、ゲ−トを過ぎると甲武信岳に向かう路と分け、私達は左の
十文字峠へ進む。小鳥のさえずりを耳にしながら、千曲川の源流の小さな沢を何度か渡渉す
る。あたりはコメツガ、シラビソの針葉樹に覆われた原生林で、苔が絨緞のようにひろがって
幻想的な景色が続く。峠道として昔から利用された道は、人にやさしいと言うがその通り歩き
やすい道が続いている。道幅が広いためか急な傾斜を感じさせない。復路のふわふわ新道の
分岐を確認しておきたかったが、それらしき道は見当たらない。最新のエリアマップには載って
いないし、もしかして、廃道になっているかもしれないと思った。今回の山行の目的は一つはシ
ャクナゲ観賞で、その群落は往路、峠付近、復路のふわふわ新道の3ヶ所のいづれかで見ら
れ筈である。

しばらくして「咲いてる!咲いてる!」の声にあたりを見渡すと樹間に、薄紅色の上品なシャク
ナゲの花が咲き誇っている。すっかり嬉しくなったが、峠はどうだろうか、標高からしてまだ咲い
ていないのではと不安になった。峠道も中盤を過ぎると沢から離れ九十九折りの急登が続き、
次第に息があがってきた。八丁坂の頭を過ぎるとカラマツ林の新緑の美しさに目を奪われた。
予定より早めに十文字小屋に到着。残念ながら、1万本もあるというシャクナゲはまだ蕾だっ
た。開花時の素晴らしい景観が見られないのはただただ残念。丸太造りで煙たなびく小屋は
温みを感じ、静寂な空間は下界の喧騒を忘れさせ別天地のようだ。早速小屋の女主人にふわ
ふわ新道の情報を聞いてみると、「現在は×ですよ。でも下りる人もいますけどね」「上の方
は、花がいいですよ」これを聞いては、このままピストンで下山は面白味がないと、道の荒れて
いるのを覚悟で、敢えてふわふわ新道を下りることにした。昼食が終わる頃、雨が、ポツポツと
おちてきた。十文字山を経由して、ふわふわ新道下山口の分岐に向かう。尾根の両脇はシャ
クナゲが密生しているが、固い蕾を恨めしく見つめる。あとは、ふわふわ新道に期待するしか
ない。ところが、分岐を間違ったらしく途中から、踏跡は途絶え急斜面の倒木を跨いだり、くぐ
り抜けたり難儀すること1時間余りが過ぎた。幸いにもシャクナゲの花の密生林に迷い込んだ
のだ。どの木も最盛期の花をびっしりつけ、純白の花にも対面して、疲れもとんでしまう。しばら
くは写真タイムとなってあちらこちらでパチリパチリ。その後まもなくサブリ−ダ−の予想通り尾
根筋からの道と合流し、踏跡のある歩き易い道となった。多分分岐は、まだ先だったのだろ
う。

雨に濡れた五里観音を見ながら、昔の人達はどのような想いで、ここを通り過ぎていったのだ
ろうか。私は雨足の強くなった道を登山口へ急いだ。



                          
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